犬の肥満細胞腫(MCT)1| 肥満細胞腫の症状って?

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犬の肥満細胞腫はとてもポピュラーな病気

「肥満細胞腫」は、よく「脂肪細胞腫」などと誤解された言葉がきかれるることもしばしば。勘違いされやすい「脂肪」とも、太った体つきなどの「肥満」とも全く関係のない病気です。肥満細胞腫は、主に老犬に発病する、かなりポピュラーで珍しくない腫瘍で、悪性腫瘍は言い換えればガン(皮膚ガン)ですが、定義としては腫れもの(tumor)です。

肥満細胞腫:Mastocytoma (Mast Cell Tumor: MCT

 

肥満細胞腫の形状や症状は決まっていない

このガンの一種の肥満細胞腫が発症する場所は、皮下(または皮膚)が最も多く、そのバリエーションもさることながら、様々な形状や状態、症状もいろいろで、ひと言で表現するのはとても難しいものです。決まった見た目の症状があらわれる腫瘍ではないため、パッと見で肥満細胞腫なのかどうなのかは判断できません。これ病院での生検を通して専門医により判断が下されるため、症状や形状が七変化するようなこの腫瘍を「まるでカメレオンのような腫瘍」などと言われることもあります。皮下にできたわかりにくい形状の腫瘍は、飼い主でさえうっかり見過ごしてしまうケースも少なくありません。

体のどこかに盛り上がっているような部分はありませんか?犬の体を普段からよく見ていれば、「こんなところに、こんなできものらしき膨らみや、不自然な毛の流れによって見える皮膚の下に何かあるような違和感があるように見える」などといった、それぞれ飼い主の方の目に何か気づく部分があるときがあれば注意して見てください。肥満細胞腫のできものができたばかりの時は、本当に小さいニキビのようなものであることもよくあります。

うっかり様子を見ているうちに、あれよあれよという間に大きくなるものもあります。丸い形状で、ぷよっとした触り心地であったり、表面に毛が生えていないドーム状のできものであることもよく見られます。また、進行が早い悪性の腫瘍は、ニキビが破裂したような形状や皮膚炎を起こしているように見えるもの、表面が潰瘍になっているもの、腫れ上がって赤みを帯びているものなどとかなりその様子がさまざまです。

 

肥満細胞腫腫瘍が悪性の場合は進行が早いと危険

実はこの腫瘍は悪性の確率が高いとも言われていますが、その発見の段階で、腫瘍がどのステージなのかによって、緊急切除をしなければならないこともしばしばです。皮膚疾患のうち、肥満細胞腫が悪性腫瘍であるのは2割程度となっており、放っておくと進行が早いものであれば、リンパに転移したり死に関わるほど、発見した場合には危機感を持って対応することが望ましい病気です。もちろん手術ですぐ治るものもありますし、抗がん剤の投与でその進行を止め、衰退させることができる場合もあります。その悪性度は様々なので、進行が早いものであれば悪性度が高いものとしてあまり様子を見たり、放っておいたりする判断を勝手に行うと、かえって危険だということです。

ほんの小さなしこりやできものに見えても、その大きさが著しく変化するようなものであったり(例えば1,2週間の間に1センチ以上腫瘍が大きくなるなど、すぐ大きくなるような症状が見られたりする場合)、色や形状が尋常でない場合は早く気づくこともあるでしょう。しかし、そうでない場合は犬の皮膚の皮下にある小さくわかりづらい、できものがあるのかないのかよく分からない場合などは、普段のスキンシップやグルーミングを行っていても見落としがちになることが大いに考えられます。特に毛足が長かったり、毛の密度が濃い、またはそうでなくても皮膚の色などができものがあるかどうかを確認しにくい犬種であったりすると、常に犬の体に触れ慣れておかなければ気づきにくいことがよくあります。

 

肥満細胞腫と判断されたら 

また、悪性の怖さばかりを書いてしまっていますが、良性の腫瘍もあり、その場合の治療は必要ないものももちろんあります。この病気にかかった際は、もっともその個体に合った治療法を即提案してもらえるような、信頼のおける医師の方に巡り逢えることも大切ですが、普段からの犬たちの生活スタイルを改善しながら病気と向き合う、気長な取り組みも必要になります。飼い主側の疲労や心労も、その状況によっては非常に重苦しくなることも予想できますし、さらには長期間に渡ってケアを必要とすることも起こります。

ですので、飼い主側が「病気と戦って疲れる」のではなく、「病気を受け入れつつも長期的に改善を促す」ような忍耐をもって、ケアされることをおすすめします。1番合った治療法を選択するのは、飼い主側だけの判断によるものではありませんが、普段から主治医の方とのコミュニケーションを通して、その子について十分把握してもらったうえで、適切な処置をしてもらえること。また、飼い主側の適切な心得として、肥満細胞腫についてよく理解しておくことも大切です。

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[The case for Koots]

Kootsの場合は、最終的に2箇所のできものがみるみるうちに大きくなり、結果病院での検査により肥満細胞腫と判断されました。 ひとつは左側の真横の脇腹。もう1箇所は左足の太ももの付け根近くの内側で、毛のない部分。脇腹の腫瘍は1年をかけて直径1.5センチほどになり、なだらかなドーム状のぷよぷよした触り心地の柔らかい膨らみで、表面には毛がありませんでした。

時々大きくなったり、少し腫れているように見えたり、また時には小さくなったり、膨らみが目立たなくなるくらいなだらかになったりして日々その症状に変化が見られました。足の付け根の腫瘍は、はじめ米粒ほどの大きさから、短期間のうちにものすごいスピードで大きくなりました。皮膚が巾着状に垂れ下がるほど成長してしまいました。しかし、彼は2箇所の肥満細胞腫と、CTVT(可移植性性器肉腫)の切除手術を同時に行い、その後も元気に生きています。現在12-13歳です。

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