バンコクのソイドッグ(soi dog in Bangkok)路上生活

野良犬という言葉が汚くて嫌い

野良犬という言い方があまり好きではない。それをかなりリアルにイメージした言葉で、汚らしい感じがして嫌なのだ。でも幸いなことに、日本にはソイドッグがかなり少ないので、その言葉をあまり使わなくてすむけれど、ここはちがう。

犬好きの人は多く、今かれらはとても仲良くしているようにみえるけど、実際は怖がる人もたくさんいる。ソイドッグは街にも郊外にもたくさんいて、田舎ではけっこう凶暴化している個体もいるそうで、1度でも怖い目にあったタイ人はとことん彼らを怖がる。それはもう、ゴキブリ嫌いな人が、自分の部屋にあらわれたゴキブリに対して、とんでもなく怯えるそれににている。

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ここの気候が本格的な夏の4・5月夏や、雨が一番多い9・10月を除けばかなり快適なので、路地でも暮らすのにはそこまで無理がないように見える。でもやはり日中はかなり暑くなるし、雨季でも雨が少ないときでもやはり不快指数MAXな湿度には、何年いても慣れないと感じる。しかし住めば都。いつしかこの乾季と雨季の2シーズンしかないこの気候にも全く違和感すら感じない、むしろ今から日本に戻る時を想像すると、ものすごく困難なことが多いように感じてしまうので生き物の順応性ってすごいなぁってつくづく思う。だって、寒いでしょう?7年もここにいる今となっては、冬物ももうほとんど所持していないも同然の状態で、長期滞在者の中ではタイ人寄りになっていくことを“タイ人化する”ともいう。

 

ソイドッグ: Soi (ソイ) とは“通り”のこと

バンコクは道を歩いていると、日本とは違って犬と遭遇することがかなり多い。そして、猫も外で暮らす個体は相当多いと思われ、道端に犬、塀や屋根など犬がいない場所には猫がいる。夜になるとどこからともなく犬たちの凄まじい吠え声や遠吠え、喧嘩をして悲鳴を上げている声が、静かな夜の自然のサントラのように響きわたっているのがここの日常。通りにいるソイドッグもおおいが、タイでは一軒家ではかなりの割合で犬を飼っており、日本と違って小型犬ですら敷地内で塀の内側の屋外で飼っている家もあるくらい。家の前を通るとたいてい気候が良ければ、門の内側で犬が外を見張っていたり飼い主を待っていたりするんだろう光景によく出くわす。

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なので、家の前を通る時には吠えられることもしばしばで、警戒心の強い犬を庭で飼っている家の前で、かばんの中身から何か取り出そうとちょっとでも立ち止まろうものなら、ものすごい剣幕でほえられてしまうこともしょっちゅうで、一時期ソイドッグが怖くて特殊警棒なんかを持ち歩いて出掛けることもあった。といっても、家から2分くらいの場所にあるバイクタクシー(モタサイ)なる乗り物、この乗り場に歩いて行くだけなんだけれどね。今はそんなことをしなくても、じつはここの国の犬たちは、たくさんで路上で暮らす個体ほど、有能なアルファがいれば実は人間よりすこぶる賢くふるまうことができる、非常に社会化ができた唯一人間と暮らすことに長けた動物なんだということに気づいた。

 

アルファとして生まれたAlpha male(アルファメイル)

もちろんアルファはどこにでも存在するものだけれども、私たちが出会った3頭は、1匹のアルファ率いる双子の男の子を連れたチームとして、日本人の多く住むスクンビットと呼ばれる地域のソイに暮らしていた。その、とあるソイの中ほどにある7イレブンの正面にチームでたたずみ、まるでソイに入ってくる侵入者を一人残らずチェックする守衛のように、ベストポジションにいるのである。ソイを牛耳るというのはこういうことを意味していて、ある範囲をナワバリとして守って、これがさらにチームワークによっていかに広い範囲を占領できるかは、そのアルファのなせる技次第なのである。

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どのソイでも犬たちは、少しの涼しさや快適さをもとめてソイのなかでも1番いい場所にいたいと思っている。私たちが出逢った3頭は、見晴らしが良く、コンビニが真ん中にあるそのソイのベストポジションに堂々と鎮座し、つねにチームの誰かが見張っており、自分の家族以外の小さな犬たちが近づくことさえ絶対に許さなかった。どんなに暑くてもその路上にしかいられない人生って何だろう、そう思いはじめてタイに居住して一年以上経った頃、一頭のアルファメイルに出逢った。

 

セブンイレブンの正面玄関に堂々と伏せている、アルファのKoots(「靴下くんと名付けた「くつ」くん。アルファベットはちょっと横文字っぽくクーツと書いて呼んでいる)

それから、彼らとの劇的な人生が始まった。